ドローン(UAV)補助金の全体像:2026年の制度環境と市場動向

ドローン(UAV:無人航空機)は、物流配送・建設測量・農薬散布・インフラ点検・警備・防災など多様な産業で急速に普及しています。2022年施行の改正航空法によりレベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)が解禁され、商業利用の範囲が大幅に拡大しました。

ドローン補助金の主要制度(2026年)

最大補助額

最大1,500万円

主な補助率

1/2〜2/3

主な申請先

中小企業庁・農水省・国交省

対象機器

機体・ソフト・付帯設備

ドローン導入に使える補助金は一本化されておらず、用途・事業者の業種・機体の種類によって申請すべき制度が異なります。本記事では用途別に最適な補助金制度を解説します。

ドローンの用途別分類と補助金の対応関係

用途主な機体メーカー適用補助金上限額
農薬散布DJI AGRAS、ヤマハ、産業用HEXA農水省スマート農業補助・農業次世代人材投資事業農機購入の1/2〜3/4
物流配送(ラストワンマイル)DJI、楽天、ACSL省力化投資補助金・ものづくり補助金最大1,500万円
建設測量・BIM連携DJI Matrice、Skydioものづくり補助金・国交省i-Construction最大1,250万円
インフラ点検(橋・鉄塔・送電線)DJI Matrice、Skydio、ACSLものづくり補助金・国交省インフラDX補助最大1,250万円
警備・防犯DJI、国内警備会社OEM省力化投資補助金最大1,500万円

航空法の規制とドローン運用に必要な手続き

ドローンを商業目的で使用する際は、航空法・道路交通法・電波法などの法規制を遵守する必要があります。補助金申請時にも法令遵守の体制が審査の対象となるため、事前に把握しておくことが重要です。

ドローン飛行レベルと許可申請の要否

レベル飛行形態主な用途手続き
レベル1目視内・無人地帯屋内測量・農地内点検届出不要(一部エリア除く)
レベル2目視内・有人地帯都市部の簡易点検国土交通省への許可・承認申請
レベル3目視外・無人地帯山間部・へき地の物流航空法第132条申請
レベル4目視外・有人地帯都市部配送・広域点検型式認証取得機体+第一種操縦ライセンス必須

操縦ライセンス(国家資格)と登録制度

2022年12月施行の改正航空法により、ドローンの国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)制度が始まりました。レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)には一等ライセンスが必須です。補助金申請時には、操縦者のライセンス保有状況・機体登録(JUTMへの登録)の記載が求められることがあります。

物流配送ドローンの補助金:ラストワンマイル配送の導入支援

2024年問題(ドライバー不足)を背景に、へき地・離島・山間部へのドローン配送実証・本格展開が急増しています。物流用ドローン導入に活用できる主な補助金を解説します。

省力化投資補助金(最大1,500万円)

物流ドローン×省力化投資補助金

補助率

1/2

上限額

1,500万円

対象

中小企業・小規模事業者

物流事業者・小売業者・食品宅配業者が対象となります。ドローン本体・充電システム・管制ソフトウェア・受け渡し用ボックス設置費用が補助対象経費に含まれます。

経済産業省・国交省の物流DX補助事業

経済産業省・国土交通省が連携して推進する「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」では、ドローン配送の実証・普及に向けた補助が行われています。補助額は事業規模によって変動しますが、大型実証事業では数千万円〜数億円規模の支援が行われています。

建設・測量用ドローンの補助金:i-Constructionとの連携

国土交通省は「i-Construction」政策のもと、建設現場でのドローン測量・点群データ取得・BIM連携を推進しています。建設業者がドローン測量システムを導入する際の補助金制度を解説します。

ものづくり補助金(デジタル枠):測量ドローン導入に最適

建設業者向けものづくり補助金(デジタル枠)活用例

  • 対象:ドローン機体(DJI Matrice 350等)+LiDARセンサー+点群処理ソフトウェア(Terra等)一式
  • 補助率:2/3(デジタル枠)
  • 最大補助額:1,250万円
  • 事業計画書のポイント:「ICT土工の実施による施工時間短縮」「3D設計データ活用による設計変更費削減」を定量的に記載

i-Construction推進事業・国交省補助金

国土交通省が直接管轄する「i-Construction推進コンソーシアム」では、中小建設業者がICT建設機械・ドローン測量を導入する際の実証・普及支援が行われています。補助上限は事業費の1/2以内・最大500万円程度のケースが多く、ものづくり補助金との使い分けが重要です。

農業用ドローン(農薬散布・スマート農業)の補助金制度

農業用ドローン(農薬散布・播種・施肥)の補助金は農林水産省が主管しており、農業者・農業法人・農業協同組合等が対象となります。

スマート農業技術活用促進事業(農水省)

農水省スマート農業補助(2026年)

補助率

1/2〜3/4

上限額

農機購入費の3/4

対象

農業者・農業法人

申請窓口

各都道府県農業委員会

農薬散布ドローン(DJI AGRAS T50等)の機体・バッテリー・充電ステーションが補助対象です。散布精度証明書・農薬登録対応の機体であることが要件となります。

農業用ドローンの費用相場と補助額の目安

機体参考価格補助率3/4適用後の自己負担
DJI AGRAS T50(50kg積載)約450万円約113万円
DJI AGRAS T25(25kg積載)約280万円約70万円
ヤマハ FAZER R AP(農薬散布専用)約800万円約200万円
充電ステーション・スタンド一式約50〜100万円約13〜25万円

ドローン導入費用の相場と業種別事例

ドローン導入の総費用は、機体・センサー・ソフトウェア・人材育成・法規制対応費用を含めると、用途によって大きく異なります。以下に業種別の費用相場をまとめます。

用途別ドローン導入費用の目安

用途機体費用ソフト・SI費初年度総費用目安
農薬散布(1台体制)280〜450万円50〜100万円400〜600万円
建設測量(RTK-GNSS付き)300〜600万円100〜200万円500〜900万円
物流配送(離島・山間部)500〜1,500万円300〜800万円1,000〜2,500万円
インフラ点検(専用設備込み)400〜800万円200〜500万円700〜1,400万円
警備・屋外監視(定点)300〜600万円150〜300万円500〜1,000万円

採択事例:建設測量ドローン導入(中小ゼネコン)

事例:従業員50名の地方建設会社C社

  • 導入機器:DJI Matrice 350 RTK + LiDARセンサー + Terra処理ソフト一式
  • 総導入費:750万円
  • ものづくり補助金(デジタル枠2/3):500万円補助
  • 自己負担:250万円
  • 効果:測量外注費を年間400万円削減、竣工図作成期間を50%短縮
  • 投資回収期間:約9ヶ月(補助金活用後)

ドローン補助金申請のポイントと注意事項

ドローン補助金申請で押さえるべき重要ポイントを解説します。機器の汎用性が高いドローンは、「どの用途に特化して申請するか」を明確にすることが採択の鍵です。

ポイント1:用途を特化した申請書を作成する

「ドローンが使えそうだから導入したい」ではなく、「自社の○○業務(測量・農薬散布・点検等)に特化したシステムとして導入し、年間○時間・○万円のコスト削減を達成する」という具体的な目的・効果を明記することが採択率向上に直結します。

ポイント2:操縦ライセンスと法規制対応の計画を記載

ドローン補助金の審査では、「適切に法令を遵守して運用できる体制があるか」も確認されます。操縦担当者の国家資格取得計画・機体の航空局登録・飛行許可取得の計画を事業計画書に明記してください。

ポイント3:農業ドローンは都道府県の公募スケジュールを先取り

重要:農薬散布ドローンの農水省補助は年度当初に予算が集中するため、3〜4月の公募開始時に即申請する準備が必要です。前年度から農協・JAや行政書士と連携して書類を準備しておくことを強く推奨します。