この記事の結論
協働ロボットの導入に使える国の補助金は、2026年9月14日時点で中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)とものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の3ルートに整理できます。カタログ注文型はあらかじめ承認された製品カタログから協働ロボットシステムを選ぶだけで申請でき、個別設計のロボットシステムを導入す
協働ロボットの補助金2026:制度の全体像と結論
協働ロボットの導入に使える国の補助金は、2026年9月14日時点で中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)とものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の3ルートに整理できます。カタログ注文型はあらかじめ承認された製品カタログから協働ロボットシステムを選ぶだけで申請でき、個別設計のロボットシステムを導入する場合は一般型かものづくり補助金を使うことになります。
この記事でわかること(要約)
- 協働ロボット 補助金:使えるのは国(経済産業省・中小企業庁)が所管する3制度。自治体の独自制度は本記事では扱いません
- 協働ロボット 省力化補助金 カタログ:カタログ注文型の製品カタログには、協働ロボットを対象に含む製品カテゴリが複数登録されています(具体例と登録日は次章)。ただし同じロボット用途でも協働ロボットが対象外のカテゴリもあります
- ものづくり補助金 協働ロボット:製品・サービス高付加価値化枠で導入できますが、「新製品・新サービス開発を伴わない、単なる機械装置の導入」は公式に補助対象外と明記されています
- 協働ロボット 導入 補助金:カタログ注文型・一般型・ものづくり補助金のいずれも、交付決定前の発注・購入は補助対象外という共通ルールがあります
本記事は制度そのもの——カタログ注文型の仕組みと対象カテゴリ、一般型の扱い、ものづくり補助金の枠・補助率・上限、申請の流れ、よくある不採択理由——を公式サイト・公募要領の情報だけで整理したものです。協働ロボットの本体価格・見積もりの内訳・SIerの探し方を知りたい方は、決定版として協働ロボット 見積もり比較2026(決定版)で解説していますので、そちらをご覧ください。
本記事の制度名・補助率・補助上限額・スケジュールはすべて2026年9月14日時点で公式サイト・公募要領で確認したものです。制度は改定されることがあるため、申請前に必ず各制度の公式サイトで最新情報をご確認ください。
協働ロボット 省力化補助金 カタログ:カタログ注文型の仕組みと対象カテゴリ
カタログ注文型は、中小企業庁・中小機構が所管する中小企業省力化投資補助金の申請類型の一つです。あらかじめ業界団体(工業会等)が「製品カテゴリ」を登録し、そのカテゴリにメーカーが自社製品を登録することで、中小企業側は製品カタログから選ぶだけで(販売事業者との共同申請という形で)補助金を利用できる仕組みになっています。個別の設備投資計画をゼロから審査してもらう一般型・ものづくり補助金に比べ、申請の負担が軽いのが特徴です。
協働ロボットに関しては、2026年9月14日時点で製品カタログの「対象カテゴリ一覧」(更新日2026年9月10日)に、協働ロボットを対象に含む製品カテゴリが複数登録されています。カテゴリの新設は随時行われており、カタログの新着情報ページでも追加の都度告知されています。
| 製品カテゴリ名 | カテゴリ定義(公式より抜粋) | カタログ追加日 |
|---|---|---|
| ファイバーレーザ溶接ロボットシステム | 金属加工品に産業用ロボットまたは協働ロボットを用いたファイバーレーザ溶接を自動で行うシステム。製品構成は協働ロボット(または産業用ロボット)、発振器(溶接トーチ含む)、制御装置等 | 2025年10月16日 |
| 精密板金向けTIG溶接協働ロボットシステム | 精密板金の加工品を溶接定盤に設置し、ダイレクトティーチングを特徴とする協働ロボットを用いて、ロボットや溶接未経験者でも簡単にTIG溶接を可能としたロボットシステム | 2025年10月16日 |
| プレスブレーキ用ロボットシステム | プレスブレーキを用いた曲げ加工に必要な工程をロボットにより自動化するシステム。産業用ロボットもしくは協働ロボットと、制御盤・制御装置で構成される | 2025年11月6日 |
| 一本バー搬送ロボット | プレス加工作業における多工程加工の材料供給・各工程間移送・加工品取出しを行うロボットシステム。産業用ロボットと協働ロボットを対象とし、ロボット及び制御盤・制御装置で構成される | 2024年11月26日 |
| バラ積みピッキングロボットシステム | 箱やコンテナの中にばらばらに積まれた部品・製品をロボット技術で1つずつピックアップし整列させる作業等を行うシステム(ロボット本体・エンドエフェクタ・センサーシステム等で構成) | 2026年1月22日 |
同じ用途でも「協働ロボットは対象外」のカテゴリがある
2025年10月16日に追加された「アーク溶接ロボット」カテゴリは、公式の定義で「産業用ロボットのみを対象とし、同じアーク溶接でも協働用ロボットは対象外とする」と明記されています。カテゴリ名に「ロボット」と付いていても、協働ロボットが対象に含まれるかどうかはカテゴリごとに異なります。導入予定の製品がどのカテゴリに該当し、協働ロボットが対象に含まれているかは、公式の製品カタログ検索で個別に確認してください。
製品カタログの新着情報は随時更新されており、直近では2026年9月3日に「墨出しロボット」が追加されるなど、ロボット関連のカテゴリは継続的に増えています。導入を検討している製品カテゴリがまだ無い場合でも、今後追加される可能性があるため、公式の新着情報を定期的に確認することをおすすめします。
カタログ注文型の補助率・補助上限額(2026年3月19日改定後)
カタログ注文型の補助率・補助上限額は、応募・交付申請時点の従業員数で決まります。2026年3月19日の制度改定により、従業員20人以下の補助上限額が引き上げられました。
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(賃上げ目標達成時) | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 5名以下 | 500万円 | 750万円 | 1/2以下 |
| 6〜20名 | 750万円 | 1,000万円 | 1/2以下 |
| 21名以上 | 1,000万円 | 1,500万円 | 1/2以下 |
賃上げ目標:事業場内最低賃金を3.0%(物価安定の目標2%+1.0%)以上、給与支給総額を6%以上、それぞれ増加させる事業計画を策定し取り組むことが条件です(2026年3月19日以降の申請)。補助対象経費の総額に補助率を乗じた額が補助上限額を上回る場合は、上限額の範囲内で交付されます。2回目以降の交付申請では、各申請時点の補助上限額を2倍にした額が累計補助上限額になります。出典:中小企業庁「カタログ注文型とは」「2026年3月19日制度改定」(いずれも2026年9月14日確認)。
補助対象経費と対象外になる経費
カタログ注文型の補助対象経費は「製品本体価格」と「導入経費」の2区分です。
| 区分 | 対象になるもの | 対象外になるもの(代表例) |
|---|---|---|
| 製品本体価格 | 補助事業のために使用する機械装置・工具器具・専用ソフトウェア/情報システムの購入経費 | 中古品、対外的に無償で提供されているもの、交付決定前に購入した省力化製品、消費税 |
| 導入経費 | 省力化製品の設置作業・運搬費・動作確認の費用、マスタ設定等の導入設定費用 | 交付決定前に発生した費用、委託・外注費、移動交通費・宿泊費、補助金申請・報告に係る申請代行費 |
特に注意したいのが「委託・外注費」です。SIerにシステム設計・プログラミングを外注する場合、見積書の計上のしかたによっては、カタログ注文型の導入経費として認められない可能性があります。SI費用のウェイトが大きい導入を検討している場合は、事前に事務局へ経費区分を確認することをおすすめします。出典:中小企業庁「カタログ注文型とは」補助対象経費の項(2026年9月14日確認)。
一般型の扱い:個別設計のロボットシステムはこちら
カタログ注文型の対象はあらかじめ登録された汎用製品に限られます。安全柵・架台・ハンドを含めて現場ごとに個別設計する協働ロボットシステムを導入する場合は、中小企業省力化投資補助金の「一般型」か、ものづくり補助金(次章)が選択肢になります。
中小企業庁の公式ページでは、一般型の補助対象を「個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築」と説明し、選定する設備の定義として次のように明記しています。
一般型が対象とする「専用設備」の公式定義
「ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)」
出典:中小企業庁「応募申請・交付申請の流れ(一般型)」STEP2(2026年9月14日確認)
つまり、SIerと組んで設計する協働ロボットのシステム一式(本体・エンドエフェクタ・安全柵・架台・ティーチング等を含む)は、一般型が想定する典型的な導入パターンの一つです。なお、「カタログ注文型の製品カタログに登録されているカテゴリに該当する製品を一般型で導入する場合は、審査の際に考慮する」とも公式に説明されています。
一般型の補助率・補助上限額・対象経費
一般型の補助上限額は従業員規模が大きくなるほど段階的に上がり、カタログ注文型より高額な設備投資に対応できる設計になっています。
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅な賃上げ特例) | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 | 中小企業1/2(賃上げ特例2/3) 小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/3 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 | |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 | |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 | |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
| 対象経費区分 | 内容 |
|---|---|
| 機械装置・システム構築費(必須) | ロボット本体・制御装置・システム構築等の中心となる経費 |
| 技術導入費/知的財産権等関連経費 | 知的財産権等の導入・取得に要する経費 |
| 専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払う経費 |
| 運搬費/クラウドサービス利用費 | 運搬料・宅配郵送料、クラウドサービスの利用に関する経費 |
| 外注費 | 設計・加工・検査等の一部を外部に委託する場合の経費 |
基本要件は①労働生産性の年平均成長率+4.0%以上、②1人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、③事業所内最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金+30円以上、④次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画の公表(従業員21名以上の場合)です。事業実施期間は交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)と定められています。出典:中小企業庁「一般型とは」(2026年9月14日確認)。
一般型のスケジュールと採択率の実績
一般型は年3〜4回のペースで公募されています。2026年9月14日時点で公表されている直近の公募スケジュールは次のとおりです(第8回は2026年10月16日で締切済み。次の第9回は12月上旬受付開始・12月下旬締切の予定・2026年10月22日確認)。
| 公募回 | 公募開始日 | 申請受付開始日 | 公募締切日 | 採択発表日 |
|---|---|---|---|---|
| 第7回 | 2026年6月5日 | 2026年7月1日 | 2026年7月31日17:00 | 2026年11月中旬(予定) |
| 第8回 | 2026年8月18日 | 2026年9月18日10:00 | 2026年10月16日17:00 | 2027年2月上旬(予定) |
過去6回の申請数・採択数は次のとおり公表されています。採択率(右列)は公式公表の申請数・採択数から本記事で計算したものです。
| 公募回 | 申請数 | 採択数 | 採択率(算出値) |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1,809 | 1,240 | 約68.6% |
| 第2回 | 1,160 | 707 | 約61.0% |
| 第3回 | 2,775 | 1,854 | 約66.8% |
| 第4回 | 2,100 | 1,456 | 約69.3% |
| 第5回 | 2,035 | 1,251 | 約61.5% |
| 第6回 | 1,841 | 1,176 | 約63.9% |
出典:中小企業庁「スケジュール(一般型)」「採択結果(一般型)」(いずれも2026年9月14日確認)。応募申請から採択発表まで約3か月程度かかると公式に説明されています。