NEDO「触覚-動作統合に基づく環境適応型フィジカルAIの研究開発」とは

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/触覚-動作統合に基づく環境適応型フィジカルAIの研究開発(委託)」は、ロボットが触覚情報をリアルタイムに活用して環境に適応する次世代フィジカルAI技術の研究開発事業です。

公募概要

公募期間:2026年3月11日〜2026年4月27日
対象地域:全国
事業形態:委託事業(NEDO委託)
対象業種:学術研究、専門・技術サービス業
上位事業:ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業

ポスト5G(Beyond 5G)の超低遅延・大容量通信を活用し、ロボットの触覚センサーデータを高速にAIへフィードバックすることで、これまで不可能だった繊細な作業の自動化を目指します。

触覚-動作統合とは:ロボットに「手触り」を与える技術

人間が卵を割らずに持てるのは、指先の触覚で力加減をリアルタイムに調整しているからです。従来の産業用ロボットは力覚センサーに頼っていましたが、本事業が目指す触覚-動作統合では、分布型触覚センサーで物体表面の形状・テクスチャ・滑りをミリ秒単位で検知し、動作制御に直接フィードバックします。

  • 分布型触覚センサー:指先全体の圧力分布をリアルタイム計測
  • 触覚-動作マッピング:触った感覚から最適な動作をAIが生成
  • 環境適応:初めて触る物体にも対応できる般化能力

ポスト5Gとの連携:超低遅延通信がフィジカルAIを加速

本事業が「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の枠組みで実施されるのは、フィジカルAIにとって通信技術が決定的に重要だからです。

  • エッジAI処理:工場内のローカル5Gで触覚データを1ms以下でAIに送信
  • クラウド連携:大規模基盤モデルはクラウドに配置し、推論結果をリアルタイムに返却
  • 複数ロボット協調:ポスト5Gの同時接続数で複数ロボットの協調制御を実現

想定される活用分野:触覚AIが変革する産業

触覚-動作統合技術の実用化により、以下の分野で大きな変革が期待されています。

製造業:柔軟物・精密部品のハンドリング自動化

食品・繊維・電子部品など、柔らかい素材や極小部品の取り扱いは、従来のロボットでは困難でした。触覚AIにより、パンを潰さずにつかむ、髪の毛より細い電子部品を配置するといった作業が自動化可能になります。

分野現在の課題触覚AI導入後
食品加工形状・硬さが不均一で自動化困難個体差に応じた力加減で把持
電子部品実装微細部品の位置決め精度不足触覚フィードバックで0.01mm精度
繊維・縫製布のたわみ・滑りで自動化断念布地の触感をリアルタイム検知

医療・介護:遠隔手術・リハビリ支援

遠隔手術ロボットに触覚フィードバックが加わることで、執刀医が手術部位の硬さ・弾力を手元で感じながら操作できるようになります。介護分野では、患者の身体を傷つけずに移乗介助するロボットの実現に直結します。

災害対応:瓦礫の中での救助活動

震災時の瓦礫撤去や要救助者の捜索では、視覚情報が制限される環境で触覚が極めて重要です。触覚AIロボットは、暗闇や粉塵の中でも物体の材質・形状を判別し、安全に救助活動を行えます。

応募資格・応募方法

本事業はNEDO委託事業として実施されます。研究開発能力を有する企業・大学・研究機関が応募対象です。

項目内容
応募資格ロボティクス・触覚センシング・AI分野の研究開発能力を有する組織
応募形態単独またはコンソーシアム(複数申請可)
従業員数制約なし
公募締切2026年4月27日
申請方法NEDO公募ページまたはjGrants

注意:ロボット導入補助金ではありません

本事業はロボットの「研究開発」の委託事業です。ロボットの導入を検討中の企業は、フィジカルAI補助金完全ガイドで中小企業向けの補助制度をご確認ください。

本事業と関連するNEDO事業や、ロボット導入を検討中の企業向け補助金を紹介します。

事業名概要締切
マルチモーダル基盤モデル開発事業視覚・言語・動作を統合したAI基盤モデル開発2026年4月22日
ものづくり補助金中小企業のロボット導入随時公募
中小企業省力化投資補助金カタログ掲載ロボット導入随時公募
介護ロボット導入支援介護施設のロボット導入自治体により異なる

本事業の研究成果は、将来的に製品化されて上記の補助金で導入支援される流れが想定されています。日本のフィジカルAI産業の発展に向けた重要な一歩です。

データ出典:Jグランツ(jGrants)デジタル庁