ABBとは:世界トップクラスの産業用ロボットメーカーの概要

ABB(ABB Ltd)はスイスに本社を置く多国籍エンジニアリング企業で、産業用ロボット分野における世界トップ4(FANUC・安川・KUKA・ABB)の一角を占めます。1974年に世界初の電気式産業用ロボット「IRB 6」を発売して以来、50年以上にわたって産業自動化をリードしてきました。フィジカルAI補助金の全体ガイドも合わせてご参照ください。

ABBロボット 概要(2026年)

本社

スイス・チューリッヒ

日本法人

ABB株式会社(東京)

製品ラインナップ

600モデル以上

導入実績(世界)

50万台以上

日本国内ではABB株式会社が販売・サポートを担当しており、認定SIパートナーと連携した導入支援体制が整っています。製造業・自動車・食品・電子部品・化学など幅広い産業での採用実績があります。

ABBロボットの主要製品ラインと特徴

ABBのロボット製品は大きく3つのラインに分類されます。

シリーズ特徴主な用途可搬重量
IRBシリーズ汎用産業ロボット。高速・高精度。溶接・組立・搬送・塗装4kg〜800kg
YuMiシリーズ双腕型協働ロボット(コボット)。ISO 10218安全基準準拠。精密組立・電子部品・医療機器0.5kg(片腕)
GoFaシリーズ片腕型協働ロボット(CRBシリーズ含む)。人と共存する安全設計。検査・ピック&プレース・スクリュー締め5kg〜16kg

ABBの補助金対象モデル一覧:IRB・YuMi・GoFaの仕様と価格帯

補助金申請において、まず対象機器の仕様・価格帯を把握することが重要です。以下にABBの主要モデルの仕様と導入コストの目安を示します。

IRBシリーズ(汎用産業ロボット)の仕様と価格

IRB 2600(溶接・組立向け定番モデル)

可搬重量

12〜20kg

リーチ

1,650mm

繰返し精度

±0.03mm

本体価格目安

400〜700万円

モデル可搬重量リーチ主用途本体価格目安
IRB 12005〜7kg703〜901mm精密組立・電子部品250〜400万円
IRB 260012〜20kg1,650mm溶接・搬送・組立400〜700万円
IRB 460020〜60kg2,050〜2,550mmプレス・スポット溶接600〜900万円
IRB 6700150〜300kg2,850〜3,200mm自動車ボディ搬送1,000〜1,600万円
IRB 8700550〜800kg3,500〜4,200mm重量物ハンドリング2,000〜3,000万円

YuMiシリーズ(双腕型協働ロボット)の仕様と価格

YuMi IRB 14000(代表モデル)

形状

双腕型

可搬重量(片腕)

0.5kg

本体価格目安

700〜1,000万円

安全機能

柔軟構造・安全停止

YuMiは人と同じ作業スペースで稼働できる双腕型コボットです。電子部品の精密組立・医療機器の検査・時計部品の組み立てなど、高精度かつデリケートな作業に最適です。柔軟構造の外装により人との接触時に安全停止する設計が特長です。

GoFa・CRBシリーズ(片腕型協働ロボット)の仕様と価格

GoFa CRB 15000(主力コボット)

可搬重量

5〜10kg

リーチ

950〜1,500mm

本体価格目安

350〜600万円

設置スペース

テーブルトップ可

GoFaシリーズはパワー・フォース制限(PFL)機能を搭載し、安全柵なしで人と隣接して稼働できます。食品・化粧品・医薬品などの検査・梱包・ラベル貼り用途に広く採用されています。

ABBロボット導入で活用できる補助金制度:対象経費と補助率

ABBロボットは産業用機械・ロボットに分類されるため、国の複数の補助金制度の対象となります。2026年時点で特に有効な補助金を以下に整理します。

ものづくり補助金(最大1,250万円)

ものづくり補助金 概要

補助率

1/2〜2/3

補助上限

750〜1,250万円

対象経費

機械装置・SI費用

対象者

中小企業・小規模事業者

IRBシリーズ・GoFaシリーズのような産業ロボット本体、ロボットハンド・センサー、SIコスト(設計・プログラミング・試運転)が補助対象経費となります。「省力化・デジタル化」の要件を満たす用途であれば採択率が高まります。

申請のポイント:デジタル枠(補助率2/3)の適用を目指すには、ABBのロボット制御システム「ABB Ability」とのデータ連携、IoTダッシュボードの構築、生産管理システム(MES)との統合など、デジタル化要素を事業計画書に盛り込むことが重要です。

省力化投資補助金(最大1,500万円)

省力化投資補助金 概要

補助率

1/2

補助上限

最大1,500万円

カタログ型

審査なし先着順

要件

人手不足解消・省力化

省力化投資補助金のカタログ型では、ABBのGoFaシリーズ・CRBシリーズなど登録済み機種が対象になる場合、書類審査なし・先着順で補助が受けられます。カスタム型申請(最大1,500万円)ではIRBシリーズを含む大型ロボット導入にも対応しています。補助金申請の全体フローも確認しておきましょう。

IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)

ABBのロボット制御ソフトウェア「RobotStudio」やクラウドベースの生産管理システム「ABB Ability™ Genix」を導入する場合、IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠(上限350万円、補助率1/2〜3/4)が活用できる可能性があります。ロボット本体の補助金と組み合わせることで、トータルの自己負担をさらに軽減できます。

ABBロボットのリース vs 購入:補助金との組み合わせで最適解を選ぶ

ABBロボットの導入にあたり、購入・リース・レンタルの選択は資金計画に大きく影響します。補助金との組み合わせを含めて比較します。

調達方法初期費用月額コスト補助金対象メリットデメリット
購入高(全額)保守費のみ対象(機械装置費)補助金が最大活用できる。資産計上で減価償却可。初期キャッシュアウトが大きい
リース低〜中(頭金のみ)リース料制度・条件次第で一部対象初期費用を抑えられる。最新機種に切り替えやすい。ものづくり補助金では原則「取得」が要件
レンタル(RaaS)なしサービス料原則対象外リスクが最小。試験導入に適する。補助金が使えない。長期では割高になりやすい。

リース導入と補助金の関係:注意すべき条件

重要な注意点:ものづくり補助金においては、補助対象経費は「購入」が原則です。ファイナンスリース(所有権移転型)であれば補助対象になる場合がありますが、オペレーティングリース(所有権移転なし)は対象外となります。リース契約を検討する場合は、事前に補助金事務局または認定支援機関に確認することを強く推奨します。

ロボットリースと補助金・税務の比較記事もご参照ください。リースと購入のどちらが有利かは、企業の資金状況・税務方針・補助金の採択可能性によって異なります。

リース vs 購入のコスト試算例(GoFa CRB 15000の場合)

項目購入(補助金あり)ファイナンスリース(補助金あり)オペレーティングリース(補助金なし)
本体価格(税抜)500万円500万円月額15〜20万円
SI・周辺コスト200万円200万円含む(サービス料に)
補助金(ものづくり・1/2)▲350万円▲175万円(頭金分の1/2)0円
実質初期負担350万円50〜100万円0円
5年間総コスト(税抜)700万円(保守込み)750〜800万円900〜1,200万円

ABBロボット補助金の申請方法:ステップ別に解説

補助金申請は準備から交付申請・実施報告まで複数のステップがあります。ABBロボット導入における申請の流れを以下に示します。

ステップ1:事前準備(申請公募前)

  • GビズID取得:補助金の電子申請に必要なGビズIDプライムを取得する(取得まで2〜3週間かかるため早めに準備)
  • 認定支援機関の確保:ものづくり補助金は認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士・商工会議所等)の確認書が必要
  • ABB・SIパートナーとの相談:導入用途・機種選定・見積もり取得。カタログ・仕様書も準備する
  • 事業計画書の骨子作成:省力化・デジタル化の効果を数値で示す計画を策定する

ステップ2:申請書類の作成と提出

ものづくり補助金の必要書類チェックリスト:

  • 事業計画書(所定フォーマット):革新性・省力化効果・実施体制・資金計画を記載
  • ABBロボットの仕様書・カタログ(英語の場合は概要訳も添付)
  • 見積書(ABB Japan またはSIパートナーから取得。税別で記載)
  • 直近2期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 認定支援機関の確認書(商工会議所・税理士等が発行)
  • GビズIDでのオンライン申請(jGrantsシステム)

ステップ3:採択後の手続きと注意事項

採択後は以下の点に注意が必要です。

  • 補助金交付申請:採択通知を受けてから交付申請を行い、交付決定通知を受け取るまで発注してはならない(補助対象経費の発注・契約は交付決定後)
  • 実績報告:ロボット導入・検収完了後に実績報告書を提出。支払を証明する領収書・請求書等が必要
  • 確定検査・補助金振込:事務局による審査を経て補助金が振り込まれる(申請〜入金まで通常8〜14ヶ月)
  • 事業実施効果報告:補助金受給後5年間、毎年の事業実施効果報告が義務

ABBロボット導入の採択事例と費用シミュレーション

実際の採択事例をもとに、補助金活用後の実質コストをシミュレーションします。

事例1:中小製造業(溶接工程自動化)IRB 2600×2台

概要:自動車部品メーカーA社(従業員50名)

  • 導入機種:IRB 2600(アーク溶接仕様)×2台
  • SI・周辺設備:溶接トーチ・ポジショナー・安全柵・制御盤一式
  • 総導入費用:1,800万円(本体900万円×2台含む)
  • 申請補助金:ものづくり補助金(デジタル枠、補助率2/3)
  • 補助金額:1,200万円(上限1,250万円以内)
  • 実質負担:600万円
  • 効果:溶接担当者3名を他工程に配置転換。不良率1/3に低減。年間人件費削減効果:900万円
  • 投資回収期間(補助金活用後):約8ヶ月

事例2:食品工場(検査・梱包自動化)GoFa CRB 15000×1台

概要:菓子製造業B社(従業員30名)

  • 導入機種:GoFa CRB 15000(画像検査システム統合)
  • SI・周辺設備:ビジョンシステム・コンベア・専用ハンド
  • 総導入費用:700万円
  • 申請補助金:省力化投資補助金(カタログ型、補助率1/2)
  • 補助金額:300万円
  • 実質負担:400万円
  • 効果:検査工程の人員2名を削減。24時間自動運転で生産能力25%向上。
  • 投資回収期間:約18ヶ月

ABBロボット導入の注意点:よくある失敗と対策

補助金を活用してABBロボットを導入する際に、現場でよく見られる失敗事例と対策を紹介します。

注意点1:採択前の発注は絶対NG

最も多い失敗:補助金の採択通知を受ける前、または交付決定通知前にロボットを発注してしまうケースが多発しています。補助金の対象となるのは「交付決定通知日以降」に発注・契約・支払いが行われた経費のみです。採択≠交付決定であることを必ず認識してください。

注意点2:SIコストの見積もりを過小評価しない

ABBロボット本体の価格だけに注目して補助金申請額を計算すると、SIコスト(システムインテグレーション:設計・プログラミング・試運転・作業員教育)を含めた総費用が想定を大幅に超えるケースがあります。SIコストは本体価格の30〜100%になることも珍しくありません。見積もりは必ず本体+SIのトータルで取得してください。

注意点3:安全柵・リスクアセスメントの費用を計上する

IRBシリーズなど産業用ロボット(非コボット)を導入する場合、労働安全衛生法に基づく安全柵の設置・リスクアセスメントの実施が法的に必要です。これらのコストは補助対象経費に含められるケースもあるため、SIパートナーと一緒に補助対象経費の範囲を事前に確認してください。