不二越(NACHI)とは:創業100年超の総合精密機械メーカーが作る産業用ロボット
株式会社不二越(NACHI-FUJIKOSHI CORP.)は、1928年創業の富山県富山市を本社とする総合精密機械メーカーです。フィジカルAI補助金の全体ガイドもあわせてご覧ください。切削工具・ベアリング・油圧機器・産業用ロボットを柱とし、特にロボット事業では自社製品の製造工程に自社ロボットを適用する「自家消費」で培った信頼性が高く評価されています。2026年現在、NACHIロボットの累計出荷台数は国内外で20万台以上に達しています。
不二越(NACHI)ロボット事業概要(2026年)
創業
1928年
本社
富山県富山市
ロボット累計出荷
20万台以上
主要製品
SA / SR / CZ シリーズ
NACHIロボットはとりわけ溶接・鍛造・プレス・機械加工などのヘビーデューティー用途での実績が豊富です。高剛性・高耐久設計により、24時間連続稼働が求められる過酷な生産環境でも安定した性能を発揮します。国内の正規代理店・SIerのネットワークも充実しており、補助金申請のサポート体制が整っています。
不二越ロボットの強み:高剛性・高耐久・自社製造で培った信頼性
- 高剛性・高耐久:関節部品・減速機・モーターを自社設計。厳しい生産環境での24時間稼働に対応
- 溶接用途の専門性:アーク溶接専用モデル(SAシリーズ)は国内自動車・建設機械メーカーで高いシェアを誇る
- 自家消費で実証済み:自社の工具・ベアリング製造ラインにNACHIロボットを導入。実運用での信頼性をメーカー自身が証明
- 豊富なペイロードラインアップ:3kgから210kg超まで幅広い可搬重量に対応
- 協働ロボット(CZシリーズ)も展開:中小企業の省人化ニーズにも対応
主力製品ラインアップ:SA・SR・CZシリーズの特徴と価格帯
NACHIロボットは用途別に明確にシリーズが分かれており、溶接・ハンドリング・協働作業など目的に応じた機種選定が可能です。補助金申請では機種の選定理由と用途の対応を明確に示すことが重要です。
| シリーズ・型番 | 種別 | 可搬重量 | リーチ | 参考価格(本体) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| SA06D | 垂直多関節(アーク溶接専用) | 6kg | 1,400mm | 200〜270万円 | アーク溶接・ブレイジング |
| SA20D | 垂直多関節(アーク溶接専用) | 20kg | 1,700mm | 280〜370万円 | 大型溶接・肉盛り溶接 |
| SR06 | 垂直多関節(汎用) | 6kg | 900mm | 180〜240万円 | 組立・検査・ハンドリング |
| SR20 | 垂直多関節(汎用) | 20kg | 1,700mm | 280〜380万円 | 機械加工・プレス・鍛造 |
| SR50 | 垂直多関節(重量物) | 50kg | 2,000mm | 450〜600万円 | 重量物移載・パレタイズ |
| SR210 | 垂直多関節(超重量物) | 210kg | 2,700mm | 800〜1,200万円 | 鍛造・プレス・大型部品搬送 |
| CZ10 | 協働ロボット | 10kg | 1,200mm | 250〜350万円 | 人間協働・組立・検査 |
SAシリーズ(アーク溶接専用):溶接現場の自動化に特化
SAシリーズはアーク溶接に特化した専用設計で、溶接電源・ワイヤー送給装置との親和性が高く、溶接品質の安定化に直結します。SA06D の本体価格は200〜270万円で、溶接電源・トーチ・制御ソフトウェアを含めたシステム一式では500〜800万円が標準的な導入費用です。自動車部品・農機具・建設機械の溶接工程で特に多くの採用実績があります。
溶接ロボット導入のメリット(SA06Dの典型例)
- 溶接速度:熟練工比 約1.5〜2倍の生産性
- 品質均一化:溶接ビードのバラツキを大幅低減
- ヒューム・有害ガスへの作業者暴露リスクをゼロに
- 夜間・休日の無人稼働が可能
CZシリーズ(協働ロボット):中小企業の省人化入門機として注目
CZ10の主要スペック
- 可搬重量:10kg(協働ロボットとしては大型クラス)
- リーチ:1,200mm
- 力覚センサー内蔵:人との接触を検知して自動停止
- ISO/TS 15066(協働ロボット安全規格)準拠
- タブレットによる直感的ティーチング対応
CZ10は可搬重量10kgと協働ロボットとしては比較的大きなペイロードを持ち、食品・物流・機械加工など幅広い用途に対応します。省力化投資補助金のカタログ登録を目指して不二越が積極的に申請中です(2026年現在)。
不二越ロボット導入費用の全体像:溶接ロボットシステムの費用内訳
NACHIロボットは溶接・鍛造・ハンドリングなど用途によってシステム構成が大きく異なります。以下では代表的な溶接ロボットシステムの費用内訳を示します。
| 費用項目 | 目安費用 | 備考 |
|---|---|---|
| ロボット本体(SA06D) | 200〜270万円 | コントローラ付き |
| 溶接電源・ワイヤ送給装置 | 50〜120万円 | 溶接方式(MIG/MAG/TIG)により異なる |
| 溶接トーチ・ノズル類 | 10〜30万円 | 消耗品含む初期セット |
| ポジショナー(回転台) | 50〜200万円 | ワーク形状・重量に依存 |
| 安全柵・インターロック | 30〜80万円 | 溶接エリアの安全確保 |
| ティーチングペンダント・ソフト | 20〜50万円 | NACHI製AX制御ソフト |
| システムインテグレーション(SI) | 150〜500万円 | 設置・ティーチング・試運転 |
| 作業者教育・訓練 | 10〜30万円 | ティーチング担当者の操作訓練 |
| 保守契約(年間) | 15〜40万円 | 定期点検・消耗品管理 |
| 合計(SA06D・溶接システム一式) | 540〜1,320万円 | 構成・ワーク形状による |
費用シミュレーション:中小部品メーカーの溶接自動化例
導入費用シミュレーション(SA06D×2台・溶接ライン自動化)
ロボット本体×2
480万円
溶接設備一式
350万円
SIコスト
420万円
総額(税抜)
1,250万円
ものづくり補助金(省力化枠・補助率2/3)を活用した場合、補助額は約833万円(上限1,250万円の範囲内)。自己負担は約417万円となります。溶接工程で熟練工2名を省人化した場合の年間人件費削減効果(約800万円)と比較すると、実質投資回収期間は約6ヶ月という高い費用対効果が見込めます。
不二越ロボットに使える補助金制度2026年版
NACHIロボットは溶接・鍛造・ハンドリング用途を問わず、産業用機械として複数の補助金制度の対象となります。溶接ロボット特有の補助金活用ポイントを以下に解説します。
ものづくり補助金(補助上限1,250万円・省力化枠で補助率2/3)
ものづくり補助金での不二越ロボット申請ポイント
補助率
1/2〜2/3
上限額
1,250万円
対象経費
機械装置・SI・ソフト
推奨枠
省力化枠
溶接ロボット導入の場合、「溶接工程の省力化・品質向上」を主題とした事業計画書が審査員に評価されやすいです。具体的には以下を記載することを推奨します。
- 現状の溶接工程における人員・時間・不良率のデータ
- 導入後の生産性向上率・不良率削減率の定量目標
- 熟練溶接工の確保困難(人材不足)という社会課題との関連
- NACHI SAシリーズを選定した理由(実績・耐久性・国内サポート)
省力化投資補助金(カタログ型・上限300万円)
補助金申請フローでも解説していますが、省力化投資補助金のカタログ型は審査なしで申請できる点が魅力です。NACHIのCZ10協働ロボットのカタログ登録を不二越が申請中(2026年現在)です。
- 補助率:1/2(中小企業)
- 上限額:300万円(カタログ型)
- 審査:なし・先着順
注意:SAシリーズ(溶接専用機)はカタログ型の対象外となる可能性があります。溶接ロボット導入にはものづくり補助金(カスタム申請)を優先して検討してください。
地域補助金・富山県・都道府県中小企業支援補助金との組み合わせ
不二越は富山県に本社を置くメーカーであり、富山県をはじめ北陸地方の中小企業が導入する場合、都道府県の設備投資補助金との組み合わせが有効です。富山県の「ものづくり中小企業経営革新支援事業費補助金」等と組み合わせることで、補助総額をさらに高められるケースがあります。詳細は各都道府県の産業振興センターにお問い合わせください。
リース・割賦とNACHIロボット:初期投資を抑える調達方法の比較
ロボットリースと補助金の税務比較も参考にしつつ、不二越ロボットの調達方法を比較します。NACHIロボットは芙蓉総合リース・三菱UFJリース等の大手リース会社を通じた調達も可能です。
| 調達方法 | 初期費用 | 補助金適用 | 月次コスト目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 一括購入 | 1,250万円 | 最大833万円補助 | 保守費のみ(約3万円/月) | 補助金最大活用・長期利用 |
| ファイナンスリース(60回) | 0〜50万円(手数料のみ) | 条件次第で対象 | 約24〜30万円/月 | 資金繰り重視 |
| 割賦(36回) | 頭金10〜20% | 全額対象 | 約36〜45万円/月 | 補助金と資金調達両立 |
| 補助金活用後(一括購入) | 実質417万円 | 適用済み | 保守費のみ(約3万円/月) | 最もコスト効率が高い |
資金繰りを考慮した推奨プラン
推奨:ものづくり補助金(購入)+銀行融資の組み合わせ
- 総導入費用:1,250万円(SA06D×2台・フルシステム)
- ものづくり補助金:833万円(補助率2/3・省力化枠)
- 自己負担:417万円(銀行短期融資または自己資金)
- 補助金入金後(完了報告から2〜4ヶ月後)に融資返済
- 年間コスト削減効果800万円で約6ヶ月で回収完了
不二越ロボット採択事例:溶接・鍛造・ハンドリング分野での補助金活用
以下はものづくり補助金を活用して不二越ロボットを導入した採択事例のモデルケースです。溶接・鍛造・重量物ハンドリングの3分野における代表的な事例を紹介します。
事例1:農機具部品メーカー(従業員35名)でのSA06D×4台溶接ライン導入
事例概要:農機具フレーム溶接業者A社(北陸地方)
- 課題:熟練溶接工3名の高齢化・後継者不在。繁忙期の外注費増大
- 導入機種:NACHI SA06D×4台+ポジショナー2台
- 活用補助金:ものづくり補助金(省力化枠・補助率2/3)
- 総導入費用:1,800万円(本体・溶接設備・SI全込み)
- 補助額:1,200万円(上限1,250万円の範囲内)
- 自己負担:600万円
- 効果:溶接工3名→1名(管理・段取りのみ)へ削減、年間外注費500万円削減
- 投資回収期間(補助金活用後):約14ヶ月
事例2:鍛造メーカー(従業員80名)でのSR210×2台パレタイズライン
事例概要:自動車用鍛造部品メーカーB社(東海地方)
- 課題:鍛造ライン出口での重量物(50〜80kg/個)移載作業による労働災害リスク
- 導入機種:NACHI SR210×2台(可搬重量210kg)
- 活用補助金:ものづくり補助金(省力化枠)
- 総導入費用:3,200万円(本体・SI・安全設備)
- 補助額:1,250万円(上限適用)
- 自己負担:1,950万円
- 効果:重量物移載担当3名を他工程へ配置転換、腰痛・打撲等の労働災害件数がゼロに
事例3:電機部品メーカーでのCZ10協働ロボット導入
小型電機部品の組立・検査工程にNACHI CZ10を2台導入した事例では、既存の手作業ラインに協働ロボットを隣接設置し、安全柵なしで人とロボットが同一空間で作業する体制を構築しました。省力化投資補助金(カタログ型・申請時はカスタム型)を活用し、1台あたり自己負担を130万円に抑えています。繁忙期のみ自動化ラインの稼働率を上げる柔軟な運用が可能となり、パート従業員の過重労働問題を解決しました。
不二越ロボット補助金の申請ステップと採択率向上のコツ
ロボット補助金の申請フロー詳細版もご参照ください。不二越ロボットをものづくり補助金で申請する場合の要点を以下にまとめます。
- GビズID取得:申請者(法人代表者)が法人番号・印鑑証明を用意してオンライン申請(2〜3週間)
- 不二越認定SIerへの相談:機種・システム構成・概算見積を取得
- 事業計画書作成:溶接不良削減率・省人化人数・投資回収期間などの定量目標を明記
- 公募期間中にjGrantsから電子申請
- 採択通知後に正式発注(採択前発注は補助対象外)
- 設備設置・試運転・完了報告
- 補助金交付申請・入金(完了報告から2〜4ヶ月後)
溶接ロボット申請で審査員が高評価するポイント
- 熟練技能者不足の具体的データ:「溶接有資格者が2025年に定年退職予定」等の事実を記載
- 溶接品質の数値化:現状の溶接不良率・クレーム件数・外注費を記録して提示
- 労働安全リスクの定量評価:溶接ヒューム・熱・騒音への暴露状況と改善効果
- SIerの溶接自動化実績:認定SIerの過去採択実績を添付資料として活用
- 省エネ効果も記載:ロボット稼働によるアイドル電力削減はグリーン枠での加点対象
申請・導入時の注意点:NACHIロボット固有の確認事項
不二越ロボットを補助金申請で導入する際の注意点をまとめます。
溶接ロボット特有の安全規制への対応
溶接ロボット導入前に必ず確認すべき安全規制
- 労働安全衛生法:産業用ロボットの特別教育(6時間以上)の実施が義務
- 安衛則第150条の4:ロボット稼働エリアへの立入禁止措置(安全柵・インターロック)
- 溶接ヒューム:特化物障害予防規則に基づく排気・換気設備の設置が必要
- 消防法:溶接作業エリアの防火措置(防炎シート・消火器配置)
補助金申請においても、これらの安全設備費用(安全柵・換気設備等)は補助対象経費に含められます。安全対策コストも見積に含めてSIerと相談してください。
溶接消耗品の管理と補助金対象外費用の把握
溶接ワイヤー・ノズル・チップ等の消耗品は補助金の対象外です。年間消耗品コストを事前に把握し、補助金対象経費と対象外経費を明確に分けて見積書を作成することが採択率向上のポイントです。消耗品コストは年間20〜80万円程度(稼働時間・溶接材料により異なる)を見込んでください。